やる気を出すためのご褒美や褒めは必要か?【学力の経済学】

読書

こんにちは。せいじです。(@seiz_suzuki

最近読み始めました、「学力の経済学」。

  • 同僚

から強く勧められていながらも、なかなか読むことができていなかったので、早速数ページ読みました。

なかなかの良書です。

最初は、

  • ご褒美を与えること
  • 褒めること

について書かれていました。

教育に熱い僕ですので、今日は「教育に関するお話」をしていきます。

教育においては、経験則に基づく知識も大切だが、科学的な根拠も同時に知っておくべきだ。

ご褒美は与えたほうがいいか?

結論は「与えたほうがいい」でした。

特に、

  1. テスト結果が良ければ何かを与える。
  2. 〇〇を終えたら何かを与える。

の二者であれば、後者のほうが成績が伸びたそうです。

なぜなら生徒(あるいはお子さん)は、やるべきことが決まっていて、そのことに集中できるようになるからだそうです。

確かに、

テストでいい点を取ったらご褒美をあげるよ

と言われて頑張れるのは、普段から「勉強の仕方」をある程度わかっている子たちに限ります。

勉強が苦手な子たちからすると、

どうしたらいい点数が取れるんだ?

と思ってテストを終えてしまうでしょう。

彼らのような子たちから「ボトムアップ」を図るのであれば、

AをしてBをして、そのあとにCをしなさい。そうしたらご褒美をあげるよ

と、具体的に伝えたほうが良さそうです。

僕の9年の現場経験から言わせていただくのならば、

  • まずは目の前のやるべきことを明確に伝えて、
  • できたら「はいおっけー!」とハンコを押してあげる。

このほうが、生徒たちがやる気に満ち溢れているように思えます。

つまり、

遠い未来の成果ではなく、目の前の成果を出すことに集中させる

これが大切なのです。

大人も一緒で、

これをやったらご褒美にスイーツだ!

と、よくやりますよね笑。

そのほうが目の前のタスクに集中できるのです。

でも、それって勉強を純粋に楽しめていないのでは?

という質問にも、本書はしっかりと返答しています。

結論、ご褒美をあげても勉強に対する考え方は、ご褒美をもらわなかった生徒たちと大差なかったのです。

つまり大人も子ども、ご褒美をぶら下げて目の前のタスクや勉強に集中させるほうが、より効果が出るということなのですね。

ちなみに中高生に関しては「お金をあげること」も悪くないそうです。

研究結果から言えば、多くの子どもたちがご褒美のお金を貯蓄に回していました。

同時に金融教育もできるなんて、素晴らしい方法だなと思いましたね笑。

一方で、

何かを達成したら、〇〇をあげるね

という考え方だと、遠い未来の話になってしまい、やる気も出なければ結果も出ないようです。

大人のみなさんも、この手法でぜひ頑張ってみましょう笑。

目の前のことができたらご褒美をあげよう。そのほうが良い結果が出る。これは科学的に証明されている。

褒めて伸ばしたほうがいいのか?

結論、

その子の能力ではなく、努力したことを褒めること

が大切だそうです。

これは他の様々な本にも書いてありました。

以下、似たような書籍をあげておきます。

GRIT」と「成功する子 失敗する子」です。

「その子自身の能力」を褒められてしまった場合、例えば、

君は頭がいいね

のような形ですね。

このように褒められてしまいますと、子どもたちは「才能ありき」でものごとを考えてしまうそうなのです。

才能を褒めるのではなく、彼らのプロセス、つまり努力を褒めてあげることが大切です。

努力を褒められた生徒たちは、

  1. 結果的に粘り強くなり、
  2. 最後まで問題を解こうと懸命になっていた。

といったデータも出ています。

つまり生徒自身が己の才能のせいにしようとせず、全ては努力で変えることができると考えられるようになるのです。

才能をほめられた生徒は、逆に失敗したりつまずいたときに、

俺には才能がなかったのか…

と思ってしまい、自己肯定感が下がってしまうのです。

僕は教育系の本を数冊読んでから(読む前からも)、才能を褒めることはしていません。

また多くの起業家や実業家の自伝に書かれていることは、やはり努力や継続という言葉ですしね。

確かに「センスが抜群な人」もいますし、明らかに脳の作りが違う天才もいます。

それでも最後は、

  • 行動したかどうか
  • 挑戦したかどうか
  • 努力したかどうか

といった、泥臭い部分が大きな枠を占めると思っています。

生徒や子どもたちにも、そのことを強調して伝えるとともに、大人の僕らも一所懸命努力することを忘れず、友人や仲間の努力した部分を褒めてあげましょう。

才能ではなく努力を認め、褒めてあげよう。褒められた人はいっそう努力するようになるし、自己肯定感が上がり粘り強くなる。

経験則と科学を力にしよう!

現場で教員をやっていますと、どうしても経験や感情でなんとか乗り切ろうとすることが多くなります。

実際そのような「教育」は、世界基準と比べるとだいぶ時代遅れとなっています。

僕も「教育」についてはたくさん書かせてもらっていますが、

  • 信頼関係の築き方
  • 生徒との付き合い方

などは、成績とは直結しないため、科学的な実証がなかなかありません。(もしかしたら本書で出てくるかもしれませんが)

ただ、間接的には影響があることは事実です。

この先生だから頑張る

といった例もあり得るからですね。

一方で、

  • 成績を上げること
  • 勉強を好きにさせること
  • 自己肯定感を上げること

などもまた、先生たちの仕事のうちです。

そのために、科学的なアプローチ(統計学や経済学)を使うことは、何も悪いことではありません。

むしろ、

俺のやり方が正しいんだ!

と、勘違いして遠回りしていたら、あるいは道を間違えていたら、生徒のためにもなりません。

個人の経験はあくまで「一例」であり、参考程度にしかなりません。

その先生の人柄や話し方、生徒との接し方を学ぶことも良いことですが、同時に科学的に証明されていることを教育分野に応用していきたいですね。

どちらからのアプローチも取りつつ、

僕ならこうするかな

という言葉の使い過ぎに注意して、また教育現場を活性化させていきたいと思っています。

個人の経験は時に役立つが、あくまで一例でしかない。科学的なアプローチも取り入れながら、実践を積んでいこう。

おわりに

ご褒美や褒めることは、多くの親御さんたちが頭を抱えていることです。

しかし、教育も膨大なデータを取ることで見えてくる世界があります。

「統計的に有意」であれば、それは「意味があって成り立っている事象」であることを忘れてはいけません。

なんでもかんでも個人に当てはまるわけないのだ

と意地を張っていたら、それはそれでもったいないです。

すでにわかっていることは、うまく利用して使ったほうがいい。

もちろん、うまくいかないケースもあるかもしれませんが、統計的な有意差が出ているということは、その実験に意味があったということです。

本書で出てくる実験は、サンプル数も膨大ですので、ご自身の子育ての仕方が気になる方は、ぜひご一読ください。

それではまた!

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