他の人の痛みもわかれば相手を理解できる?【痛みの強要は不要】

人間関係

こんにちは。せいじです。(@seiz_suzuki

先日から、東京都で以下の内容が話題になっています。

男性管理職に生理痛体験促進 東京都女性活躍条例案「事業者の責務」で松本明子副知事答弁(産経新聞) - Yahoo!ニュース
東京都議会に提出された女性活躍推進条例案を巡り、松本明子副知事は9日の本会議で、事業者の取り組み事例を示す指針に「男性管理職への生理痛体験会」を盛り込むと明らかにした。自民党の増山明香氏への答弁。

「男性管理職への生理痛体験会」を条例に組み込むらしいのですが、僕はなんとも言えない気持ちです。

以前にも「生理痛を体験してみる」みたいな動画をYouTube上で見て、

なるほど。男も女性の痛みをわかっておくべきだな

とは思っていました。

しかし、

  • 都の税金で行われたり
  • 半強制的に行われたり
  • 痛みを伴うことで理解を促進させたり

するのであれば話は別です。

今日は「人の痛み」について書いていきます。

人の痛みを理解したからと言って、全てを理解できるわけではない。相手の痛みを理解する機会はあってもいいが、それを言い始めると全ての人の痛みを理解しなければならないことになる。

痛みを理解することは大事なこと

大前提として、相手の痛みを理解しようとする試みはとても大事なことです。

僕もその昔、アキレス腱を断裂して8ヶ月入院していたことがありますから、

入院して何もできない時って、しんどいよなぁ

という気持ちはわかります。

以前にこの「生理痛を体験してみる」みたいな動画を見た時に、

うん、これは大事なことだ

と思ったのは、”そういう機会” がなかなかないからでもありました。

人の痛みとは、自分が経験して初めてわかるものですからね。

しかし、だからと言って「生理痛の激しい女性」のことを100%理解することは不可能です。

ここがミソなんですよね。

  1. 人の痛みを理解しようとすることは大事
  2. しかし、だからと言って「理解できた」とはならない

ちょっとしたきっかけにはなりますし、女性のことを無碍(むげ)に扱っている男どもには、一度体験させたらいいです。

一方で、コメント欄にも散見されていたのが、

だったら男にしかない痛みを女性に味わわせるのか?
人の痛みをわからせるために、友達を殴った生徒の頭を殴るのか?

といった反論でした。

女性への理解が足りていないから、痛みをわかってもらう…

うーん。

聞こえはいいですが、それは根本の解決にはならないと思うんですよね。

体験会でのその痛みは一瞬だけでしょうし。

女性の友人にもこのニュースのことを話したら、

女性によって、痛みの重さなんて違うよ

と、一蹴されました笑。

理解しようとすることは大事ですが、だからと言ってそれが女性のための有意義な議論になるわけではないようですね。

痛みを理解しようとすることは大事なことだ。しかし、それで相手のことを100%理解できるわけではない。経験としてはありかもしれないが、他の痛みに関してはどう説明するのだろうか。

大切なのは想像力

僕が思うに、これは「体験したからわかること」でもないのだと思っています。

とても悲観的で元も子もないことかもしれませんが、

相手のことなんて、一生理解できない

というのが僕の持論です。

僕の友人にもいろんなタイプの友人がいますが、男でも共感できないやつなんてごまんといますし、逆に僕ら男たちのことを「女性が理解している」とも到底思えません。

なぜ「痛み = 理解」になるのかを、僕は問いたいのです。

僕は偏頭痛持ちでした(今はだいぶ落ち着きました)が、

僕の痛みをわかってもらうために、女性たちにもこの体験会を開きます

と言ったら、どうでしょうか。

それはあなただけでしょ
生理は性差によるものなんだから偏頭痛は別。押し付けないで

とかなんとか言うことでしょう。

これらの意見を、そっくりそのまま今回のニュースに適応できるじゃないですか笑。

女性にも個人差があるのですから、「個人の痛みを押し付けるなよ」と言ったっていいわけですよね。

今まで激しい生理痛を味わったことのない人にも、この痛みを強制するということでしょうか。

そこまでくると、

いや、それはちょっとおかしいのでは?

と思いますよね。

繰り返しますが、「人のこと」なんて痛みをちょっと経験した程度で理解できるものではありません。

大切なのはいつでも、

  • 性差
  • 体格差
  • 性格の違い

などの個々人の違いをそれぞれ認め合い、

まぁそんな体つきの人、考え方の人もいるよな
そういう大変な経験をしてきた人もいるよな

と思えるかどうかということ。

想像力」なのです。

それでも、想像力が及ばないことはありますし、確かに体験しているかどうかはとても大事なことです。

ただこれが、

  • 公金でやられている
  • 「痛み」を伴う経験であること
  • 個人差があり、万人に知ってもらうべきことなのか

という疑問点をはらんでいるのですから、いろんな観点から見るに、

果たして意味のあることだろうか?

と思ってしまいます。

言い方は悪いですが、ちょっと想像力を働かせ、あとはお互いを認め合うしか、方法はありません。

そうやって、社会って回っているんじゃないでしょうかね。

痛みを伴う経験も時には大事だが、もっと大事なのは想像力だ。想像力を働かせて、相手のことを思いやることが大事だ。

お互いを理解する最善の方法なのか?

先ほどから多くの方々が出している意見のように(僕の意見ではありませんが笑)、やはり「痛みをわかってもらおう!」という前例が出始めることには、危機感を覚えます。

じゃあこっちの痛みは?この人の痛みは?

と、際限なく「痛みを経験させる事例」が出てくることになります。

「生理痛休暇」などはすでにありますが、問題はそれが取りづらいことではないでしょうか。

本当に理解してもらおうと思うなら、他の “女性” にだってわかってもらう必要があります。

特集 働く女性と生理休暇 | 働く女性の心とからだの応援サイト
生理の症状がつらい時、無理していませんか?この特集ページでは、生理休暇などの情報や生理に関して知っておくべき情報や、職場の環境整備を進める上で役立つ情報を提供しています。是非ご覧ください。

痛みが個々によって違うのですから、女性の中にだって、

そんなに痛いの?わからんわ

という方は一定数いるでしょう。(僕の友達もそう言っていた人はいました)

だからこそあえて、「理解してもらうこと」はハナから目指さないほうがいい。

「そういうものだから」と割り切って、痛みの激しい人は自ら休暇をとっていき、その実例を積み重ねてゆくしかないのかなと。

性差をなくすことはできないですし、「個人差」なんてもはや無数に存在しますから差を埋めるのは不可能。

自分の人生経験の中で、

こういう経験をたまたましたから、その点については理解できる

ということはあってもいいと思います。

だからと言って、僕から急に、

アキレス腱を切ったことなんてないだろ?切ってみろ!
俺は世界を一周したのだから、世界を理解するためにお前も世界一周しろ!

と言われたら、なんじゃそりゃってなりますよ笑。

何度も言いますが、できるならいろんな経験をすることに越したことはありません。

ただ、

  • それを強要したり
  • まるでそれが総意である

という状態はおかしなことだということ。

いいなと思う点もゼロではありません。

しかし、世間で人間関係のズレがこれだけあるのですから、痛みを経験した程度で「根本の解決」に繋がるとは思えません。

生産的な話かと言われますと、多分に疑問符は残りますね。

相手に強制して何かを経験してもらうことで、相手を理解させたような気になってはいけない。もっと違う観点から、男女や個々の理解を深めていくことが大事なのではないだろうか。

おわりに

もちろん、こうした話題が出ることは、考えるきっかけになるため良いことだとは思います。

ただそれが「変な方向」で進んで行ってしまい、

痛みを理解できれば、相手のことが少しでもわかるだろう

と、半(なか)ば体罰のようなことをやるのは、時代に逆行していると感じます。

理解するには、もっと想像力を豊かにすることや、

  • 男性
  • 生理痛に苦しんだことのない女性たち

に事情を知ってもらう講演などがあれば、それでいい(その程度でいい)のではないかなと。

「とにかく激しくやればいい」という結論を導かないことでしょうね。

それではまた!

タイトルとURLをコピーしました