こんにちは。せいじです。(@seiz_suzuki)
先生をしていますと、生徒が学校に来なくなることは日常茶飯事です。
便宜上その状態を「不登校」としておきますが、僕は以前にも不登校についていくつか記事を書きました。
生徒が来られなくなりますと、先生や親は決まって「理由」を知りたがります。
しかし人の気持ちとは複雑であり、そんな簡単に解決策は見出せません。
今日は教員歴9年の僕が、また以前とは違った視点で「不登校」について書いていきます。
理由を理解しようとする必要はない
人には理性があるため、できる限り合理的に生きようと思うのは当たり前のことです。
僕もたくさん勉強をしてきましたので、
- 論理的
- 合理的
という言葉は好きであり、「理屈を求める傾向」があることは否めません。
僕が先生になったばかりの頃、早速不登校になってしまった生徒がいました。
僕はどうしてそうなってしまうのか、全く理解することができませんでした。
と不思議で仕方ありませんでした。
そもそも僕は「先生になるような」人間です。
不登校になったことはありませんから、気持ちが理解できないのです。
似た経験があればまだしも、そんな経験が全くないのですから、いくら努力したところでわからないものはわからないのです。
しかしこうして何年も経験を重ねて、様々な生徒と会っていますと、
とわかるようになりました。
「努力したって無理な話」であるとわかれば、生徒から無理に理由を聞こうとしなくなります。
そうすると、まず先生側の気持ちはイライラしなくなります。
と思うだけでなく、生徒の気持ちに寄り添うことができるようになります。
それは「理解すること」ではありません。
どう頑張っても、理解することは不可能なのです。
不登校に限らず、メンタルの問題は本人でも理由がわからない時があります。
僕は専門家ではありませんが、現場の経験から言わせてもらうのであれば、そのようなケースが多いです。
ひとたび割り切ってしまえば、
と、本人に委ねることができます。
わからないことを、無理にわかろうとしないこと。
これは、不登校になった生徒への思いやりだと思っています。
理解しようとしないことが嬉しい
生徒にとって、
と聞かれることがいちばんのストレスです。
「それがわかったら苦労しないよ!」ということもありますし、わかったところで解決できるなら、とっくに登校できているはずだからです。
僕の尊敬する先生が、
と言ってくださいました。
と、妙に納得したような、肩の荷が下りたような、そう思えた時がありました。
先生ですらそう思うのですから、そう言われたら生徒本人としても嬉しいと思います。
少なくともその生徒は、自分がそうなってしまったことに対して、引け目や後ろめたさを感じているからです。
そんな時に、
- 自分の今の状態を心配してくれること
- 理由を考えずに今の生活だけに集中すればいいこと
この現実は、しんどい思いをしている生徒にとっては「救い」になるのです。
- 理由を聞こうとすること
- 学校に来て欲しいとお願いすること
これらもダメなことではありませんが、最低限聞いた上で本人が「わからない」「難しそう」と言ったらそれ以上は聞かなくても大丈夫です。
聞かれたところで解決策や答えはすぐに出てきませんしね。
そうして「理由を知ろうとはしていないよ」と気持ちを伝えることは、放っておくというよりも、
「気にはかけているけど、自分の状態も尊重してくれている」
という感覚を与えます。
この絶妙な按配が、生徒としては嬉しいですし、気が楽になります。
先生も保護者の方も、なんとかして生徒を動かそうとすることが多いのですが、それは完全に自己満足になってしまいます。
生徒にとっての人生は、まだまだ先が長いです。
- 学校が全て
- 今問題を解決することが全て
と思う必要はないのです。
大人も平静を保つことが大切
僕が先生になったばかりの頃は、
と思っていたふしがありました。
実際、担任は負担が大きく、生徒が何かやらかした場合も、
と言ってくる、わけのわからないヤカラがいます笑。
確かに、
- ダメな先生
- キャパオーバーしている先生
も一定数いますので、
とは言い切れません。
しかし、特に理由もなく不登校になってしまう生徒に対して、担任が激しく責任を感じる必要はありません。
責任を感じるなんて、僕からすれば「傲慢」でしかありません。
自分のコントロールできない範囲で起こったことを、さも「自分が関わったから…」と言おうとするなんて、何様だと思うからです。
生徒には生徒なりに悩んだ背景があり、担任や学校側の責任がゼロとは言いませんが、それだけが原因で不登校になることはほぼあり得ません。
それがわかっていない人ほど、
と思ったり、
と、過度に責任を感じたりするものです。
僕の場合は、
と思うだけであり、
- 保護者
- 生徒本人
としっかり連絡が取れていれば、あとのことはその時になってから考えるしかないと思っています。
お伝えしているように、不登校は「早急に解決できるようなケース」は少ないですし、本人自身も理由がわかっていないことが多いからです。
そんな時に、担任や学年の先生、親が、
と思うのは、「悪手」かなと。
大人たちも感情的になってしまうからですね。
「焦る気持ち」はわかりやすく、かつ生徒に伝わりやすい。
だからこそ、大人たちはドンと構えておく必要があります。
- いろんな選択肢があること
- とりあえず時間をかけて静養すること
など、オプションをたくさん出してあげますと、生徒も安心して生活することができます。
緊張や不安を伝染させないよう、大人たちもトレーニングが必要なのかもしれませんね。
おわりに
学校の先生の仕事である「教育」の中には、様々な指導が入っています。
若い頃と大きく変わったことは、
「余裕を持って対処していること」
でしょうか。
変に責任感を強く持つ必要もないですし、生徒が進む人生を否定せず、ありのままを受け入れてあげればいい。
そう感じるようになったからだと思います。
僕ら教師たちは、生徒の存在を尊重してあげると同時に、生徒の自立も促します。
先生たちが意識的に責任を感じ過ぎてしまいますと、生徒たちも先生のせいにします。
それはどちらにとってもよくありませんので、
というスタンスを持っておきましょう。
生徒が、自分の人生に自分で責任を負っていけるように、手助けをしていきましょう。
おんぶに抱っこ、過干渉することが先生の仕事ではありません。
僕も生徒のありのままを尊重し、見守りつつ指導していきたいと思います。
それではまた!
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