こんにちは。
スーパーポジティブ人間であるすずきは、マインドフルネスによって「いまここ」に意識を集中させようと躍起になっております。
つまりそれは過去を顧(かえり)みず、また未来の不安にも苛(さいな)まれないことを意味します。
しかしふと、過去の栄光にすがりたくなる欲求があるのが人間というもの。
すずきはそうした欲求に見舞われた時に一体何を思うのか。過去を振り返ることに意味を見いだすことはあるのか。
考えを述べていきたいと思います。
過去よりも今
生徒と文化祭の練習をしている際に、あまりにも生徒がくすぶっていたので「ちょっと俺の昔のダンス動画見ろ」と言って動画を見せました。(どゆこと?)
とても古い動画で、ダンスサークル時代のまだダンスを始めたての頃のものでした。
動画を何本か見せた後、生徒から「今の先生とは想像もできないくらいうまくなかったんですね」と思いっきりディスられました笑。
ま、見方を変えれば今のすずきはまぁまぁいいよってことでしょうかね泣。
そうです。昔の自分はとても下手だったし、始めたての頃はこんなものだということを伝えたかったのです。
その後楽しくなって何個か自分も動画を見てみたのですが、まぁ荒い動きと繊細さを欠いた表現力、勢いに任せたムーブなど、ほんと生徒と一緒に見ていて恥ずかしくなること火のごとしでしたよ。
人間誰しも最初からできる人なんてこの世にいません。いるとしたら神か天才くらいなものです。
これらの動画は、まだまだ未熟である目の前の生徒の水準に近いというか、その頃の自分は「もっとうまくなってやるんだ!」って思って下手なりにガツガツしていたので、そうしたエネルギーはたとえ動画ごしでも彼らにも届きやすかったのだと思います。
僕が19とか20の時の動画だったので、年齢が近い時の動きということも相まってダイレクトに伝わったようです。
改めて見て思ったことは、昔の自分ってほんとまだまだ上手くなかったんだなと思うよりも、今はほんと昔に比べて上手くなったなと思いました。
これで「俺、昔のほうがキレッキレじゃん…」ってなったら今の自分の立場というものがありませんからね。
あの頃の自分に対して「まだまだだね」って言えるっていうことは、今の自分のほうが上だよっていうことですから。
株価と一緒で、そんな昨日や一週間前の自分と比較してうまいだとか下手だとかって比べてもそれは気分や体調に左右されているだけであり、1年前あるいは何年も前の自分を見て「自分は変わったなぁ」と思えれば長期的な勝負に勝てているということです。
これはダンスに限らないことですよね。
僕は言うまでもなく、ここ30年くらいで今が一番調子がいいと思っています。体もダンスも読書も仕事もプライベートも。(た、たぶん…)
確かにここ1年でガッ!と人生の折れ線グラフが急上昇してしまいましたが、「ふぅ。あとは下降の一途をたどるだけだな…」じゃ本末転倒ですよね笑。
明日を、来週を、来月を、来年をわずかでもいいからさらに良いものにしていく。このマインドセットが大切です。
初心忘るるべからず
ふと過去の動画を見返していた時に、「過去の自分はトゲトゲしていたし荒い動きばかりだったけど、何かこうアツいものを感じる」と思ったのは間違いありません。
ショーケースやバトルを見ていても、どう考えてもそんなにかましてないはずなのにドヤ顔をしていたり、根拠のない自信と前のめりになるほどの前傾姿勢を貫いていたりしていました。
それらはあの頃の特権だったのだなと思いました。
下手なりにもがき苦しみ、ただただ上手くなるためだけに夕方4時から朝の4時まで練習していた日々。
量と質に関して言えば圧倒的な「量」によっていろいろな欠点をカバーしていた(ように思い込んでいただけの)日々でした。
最初からそんなしっかりと技や構成、見せ方や雰囲気を考えて効率的に練習ができたら苦労しませんもの。
その時はとにかくたくさん量をこなしたり場数を踏んだりして、いっぱい失敗していくしかなかったのです。
その後だんだんと練習の仕方やダンスに対する考え方が身についてきて、質>量という形にもっていくことができました。
仕事もそうだと思います。ほんと最初の1〜2年は役立たずのポンコツ教師でしたからね。でも情熱だけは頑として持っていました。
何事においても初心者とはそういうものです。
だからこそ「初心を忘れるるべからず」と思うこの頃です。
30代になるとなんとなく慣れてきた運用方法や空気感、安定思考に支配されてしまい、マンネリ化した練習や仕事、プライベートを送ってしまいがちです。
そんな時、あの頃のガムシャラさやアツさ、エネルギーに満ち溢れていた頃に負けないように、チャレンジしていく精神を持ち続けることが、今の自分を強くするのではないかと思っています。
今またガムシャラになれとか向こう見ずになれというわけではなく、あの頃抱いていた純粋な前を向く気持ちを忘れてはいけないなって感じたのです。
すると現状にも張りが出て来て、仕事やプライベートでも張り合いのある生活が送れることでしょう。
立ち止まらない
なんでもかんでも過去を振り返ってしまうことが悪だとは思っておりません。
過去の自分から勇気をもらったり、元気付けられたり、もう一度頑張る後押しをしてくれることもあります。
そんな時僕は、伊坂幸太郎著「砂漠」でのセリフを思い出しています。
学生時代を思い出して懐かしがるのは構わないが、あの頃はよかったな、オアシスだったなと逃げるようなことは絶対考えるな。そういう人生を送るなよ
まさにその通りだと。
確かに学生時代は勉強と部活を好きなだけやっては先生に反抗したり、バイトのお金を片手にサークルに英語合宿に明け暮れ毎日が夏休みのようだったり、あげればキリがないほどオアシスのような時間でした。
しかし今でも周りに数え切れないほどの未知なる刺激があり、毎日がオアシスとは言えなくとも砂漠を必死に横断している自分がいると思っています。
砂漠の真ん中で「成長したい」ともっと先に進むのか「あの頃はよかったな」と戻るかだったら、迷うことなく先に進むことを選びます。
一見オアシスで自由な暮らしを手にいれた光景はキレイに映りますが、僕はあの頃の自分に戻りたいとは思いません。
だって今のほうが過去よりもよっぽどいい自分になれている、なり続けられていると思えるからです。
あの頃のすずきは良くも悪くも必死に前だけを向いて練習していました。
そんな過去の自分に「おい、止まってこっちを振り返ってるわけないよな?」と言われた気がしてしまうんですよね笑。
彼にだけは嘘はつきたくありませんからね。
だから今でも、前だけを向いて歩き続けるのです。
おわりに
過去の写真や動画を見返すのは、実にとても久しぶりのことでした。
その中で湧き出てくる数々の名シーン(自分だけ再生可能)、血湧き肉躍るムーブ。
ダンスを始めた時の「初心」を、まさか自分によって思い起こされるとは思いもしませんでした。
あまり過去のものは見ないすずきなのですが、こうして力をもらえることもあるんですね。
生徒に見せるつもりがどんどん自分がのめり込んでしまいましたよ笑。
「あの頃の自分に負けない、誇れる自分がいるか?」と自問自答してみると、答えは即答でYesですね。
常日頃から新しいことにチャレンジし、成長していきたいという気持ちはこれからも忘れずに持っていたいと思っています。
なんか昔の自分から監視されている気もしてしまい身を引き締められる思いですが、それもまた自身の成長へとつながります。
過去立ち寄ったオアシスに大きく手を振って、砂漠でもジャングルでも森でも山でも分け入ってたくましい自分になって帰ってきましょう。
それではまた!
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