こんにちは。すずきです。(@seiz_suzuki)
教員を続けていて思うことは、「コミュ力の大切さ」です。「引き出す能力」と言ってもいいのかもしれません。
とはいえ「TEDトークのようにプレゼンしなければならない」ということではありません笑。
それでも、つらつらと「面白くもない話」をする先生って、みなさんの周りにもいませんでしたか?
- ただただ自己満のワンウェイ授業
- 黒板に書いて写させて解説
- 雑談が面白くない
など、様々いるかと思います。
僕も素晴らしい先生に出会ったこともあれば、ずっとしゃべっているだけの先生に出くわしたこともあります。
学生時代は勉強(授業)が好きでしたので、授業中もほとんど寝ずに一言一句もらさず授業を聞いていました。
しかし現在、教師となって授業をしてみますと、僕みたいに「授業を聴きたくて仕方ない!」という生徒は極稀(まれ)という現実を突きつけられました笑。
では「どうしたら授業を面白くできるだろうか?」と思ったのが本日のテーマです。
一教師の考え方だと思って、読んでいただけると嬉しいです。
面白い授業 = わかる授業
若かりし時の僕といえば、「面白い授業=ギャグ要素を含んでいる」と思い込んでいました。
- 先生のキャラの濃さ
- 授業にボケや面白い話を差し込めるか
- 少しふざけてもよい
などの点に「高い優先度」をつけていました。
しかし授業に慣れてくるにつれ、だんだんと生徒のニーズがわかってきました。
- 丁寧に授業をしてもらいたい。
- わからないことをわかるようにしてもらいたい。
- 何をどこまでやればいいのか知りたい。
など、第1に授業のクオリティが求められていることに気づいたのは、教員になって2〜3年目以降でした。
最初の1年目は未熟なりにオモシロおかしく授業をしていましたが、やはり真面目かつ丁寧に授業することが大切なのだなと、徐々に徐々に学んでいきました。
ただし再びここで、気をつけなければならないことがあります。
それが「真面目すぎるとつまらない」です笑。
なんというジレンマでしょう。
どちらかに振りすぎてしまいますと、なかなか生徒たちもノッてこないという厄介な空気感なのです。
これには困りましたね。
学校とは教育機関でありながらも、予備校とは一線を画する特殊な場所であるからこそ、生まれる空気なのかもしれません。
ゆえに「勉強!勉強!」となることは一見いいようですが、「とても大切な何か」を見落としている気がします。
それが「人間性を育む機会」です。
たとえ予備校教師だとしても、僕は「真面目な授業:雑談=8:2」くらいで授業を行なっていくと思います笑。
このバランス感覚はとても難しいです。
ただ、このバランスを調整していくのもまた、教師のおもしろさでもありますね。
基本軸は丁寧に授業をし、たまに雑談を。
丁寧でわかりやすい授業を行うように心がけ始めますと、どうしても「ただただ真面目な時間」が流れてしまい、「集中力を最大限に高めた50分授業」となってしまいます。
もちろん試験前や進学に特化した学校やクラスであれば、ある程度それでもいいのかもしれません。
しかし人間の持つ集中力は30分程度だと言われていますし、どんな真面目な人間でも(大人でも)、集中力が持たないことのほうが多いのが実情です。
授業をしている側がずっと気を張ってしまいますと、お互いに疲れてしまいますよね。
また生徒の場合、
- 午後の授業で眠い。
- ご飯をたくさん食べたので眠い。
- 体育後で疲れている。
- 連日の部活で体力の限界に。
- 単純に気分が悪い。(イライラ、気持ち悪いなど)
- 友達と話したいことがある。
- スマホをいじりたい。
と言った様々な要素も絡んできます。
果たしてこの状態で授業がちゃんと受けられるのかと言いますと、確かに先生の手腕でどうにかなることでもないのが現実です泣。
一方で、大人になっても研修や会議が「つまらないもの」となるのは、以下のような経験を思い出せば「プレゼンする側の責任」とも考えられます。
- 面白くもない報告や協議
- 長いだけで中身のない話
- 資料を読めばわかることをただ読むだけ
- 生産性のない感情論
それでもなお生徒に「いいから集中しろ」と言うことが、いかに乱暴なことなのかはみなさんなら理解できると思います。
だからと言って「とりあえずアクティビティを入れよう!」という発想は本末転倒となってしまいます。
- 「生徒の活動時間を多く取れば、生徒の主体性が担保されます」
- 「眠くならないために、ペアワークを入れています」
- 「先生が動くのではなく、生徒を動かすことが大切なのです」
と、ズレた発言をしかねません。
こうした考え方も確かに大切ですが、それが「授業の本質」ではありません。
生徒の力を伸ばそうとして、結果的にペアワークやグループワーク、課題に取り組む時間や作業の時間が入ることなら望ましいものでしょう。
僕はこうした活動の引き出しも大切だと思っていましたが、ここ数年でより生徒との繋がりを大切にするようになってきました。
どんな活動があるにせよ、集中する時間が続けば大人だって疲れます。
また前後の授業も、生徒の心境に大きく影響を及ぼします。
そんな中で「50分集中し切る」というのは、そもそも至難の業なのです。
そこで授業では「ちょっと一息『雑談タイム』」を導入することにしました。
生徒からすると鬱陶しいのかもしれませんが、
- 銭湯で刺青の集団に出くわした話
- 青森での猛吹雪のヤバさ
- 最近のワンピースの激アツさ
- 何かオススメのアニメ教えて
- 川崎のヤンキー事情
など、役に立たない話ばかりをしてみることにしました笑。
「…いやね。この前、東京の銭湯に行ったんだけどさ…」と話し始めますと、生徒もスッと顔を上げて反応しますので、本当に可愛いものです。
そこで生徒に質問してみたり、意見を引き出してみたりしますと、勝手に生徒同士の雑談が始まり、さっきまで眠そうにしていた集団が、急にやかましくなります笑。
ここで制することもまた難しいことなのですが、1度生徒の頭がカチッと切り替わりますと、その後の集中力はみるみるうちに上がっていきます。
「授業」と捉えてしまいますと、お互い身構えてしまいますが、
「お?これは先生、今から『雑談モード』に入るな?」
という空気感になりますと、一瞬ふわっとした空気になるから驚きです。
授業中に適度なバランスを保っておきますと、50分を「25分×2」のような感覚で進めてゆくことができますので、非常にオススメですね。
プレゼン<会話
雑談を始めるときは、内容が面白いかどうかはあまり気にしておらず、
- 生徒の反応を見たり、
- 意見を聞いたり、
と、いわゆる廊下で話すような感覚で話しかけてみます。
- 「授業は毅然とした態度でやるべきだ」
- 「そんなんだからなめられるのだ」
- 「雑談なんかしてないでちゃんと授業しろ」
と非難されそうなのですが、僕はそれでもやる価値があると思っています。
先ほど述べた「集中力の回復」に加えて、生徒とフラットな気持ちで話し合うことができるからです。
真面目でカタく、一本筋を通したような授業スタイルもあり、それを否定しているわけではありません。
ただやはり「人と人とのコミュニケーション」で授業は成り立つと思っていますので、機械的に進めていくことには、どこか違和感があるように思えてなりません。
「それならオンデマンド方式で、授業を動画で流せばいいじゃない」と言われてしまいかねませんよね。
仮に淡々と進める授業形態であったとしても、
- そこに質疑応答があったり、
- 表情や声のトーンの変化があったり、
- 机間巡視することで1対1で話したり、
- 雑談があったり、
いい意味でアクシデントがあるからこそ、ナマモノであるからこそ、授業は面白いのです。
「一方的な雑談をしろ」「素晴らしいプレゼンをしろ」ということではなく、そこに生徒との双方向的なやりとりをもたせること。
それでこそ生徒を巻き込んだ授業となり、今後の信頼関係の構築にも繋がってくると思うのです。
「授業」の中に1〜2割ほど「雑談」がありまして、その雑談は「プレゼン+やりとり」というイメージです。
「雑談」は授業中の幕間(まくあい)のような役割を果たし、生徒の集中力の回復や授業への興味を再びもたらしてくれる大切な要素だと思っています。
おわりに
特にコロナ禍でのオンライン授業では、やりとりにラグがあるため「一方的な雑談」に全振りしていたものでした。
一方でこうして対面で授業をしていますと、情報の伝達の速さが一瞬であり、お互いの意思疎通がよくできるようになりました。
それこそが「授業」の強みであるため、授業中の「雑談」(良くも悪くも休憩)をより大切にするようになったのです。
- 生徒の話を聞いてあげたり、
- 大人としての意見や考え方を伝えてあげたり、
- お金の話をしたり笑、
- 将来について意見を求めたり。
その時間はどの生徒も「授業」から一度切り離され、前を向き、話を聞いてくれるのですよね。
「授業は聞かなくてもいいかもしれないけれど、先生から話しかけられているのに無視はできないよな…」
という違いを感じているのではないでしょうか。
もちろん授業を聞いてもらえるのがベストですし当然のことかもしれませんが、どうしようもできない時があるのも事実です。
そんな時に、
- 「先生さ、実はみんなに聞きたいことがあるんだ」
- 「なぁみんな、サウナって行ったことあるかい?」
- 「先生も若い頃は恋愛をしたものでさ…」
と話始めれば、生徒も食いつくこと間違いなしです笑。
雑談の割り合いを大きくし過ぎず、たまに息抜きを入れてあげると、お互い楽しくやっていけますし、集中力も持続することかと思います。
ぜひ取り入れてみてください。
それではまた!
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