30代が絶対に読書を勧める小説【伊坂幸太郎作品が熱い理由】

読書

こんにちは。

僕は昔っから伊坂幸太郎さんが大好きでした。

彼の作品との出会いのきっかけは、アキレス腱断裂でした。(なんという出会い笑)

小説特にミステリーを読み漁りまくっていた大学時代。

伊坂さんの作品にはなんと、ほとんど触れてきました

だから「この魅力をみなさんにお伝えしたい!」と思いまして、ランキング形式には…しませんでした笑。

それぞれの作品で書きたいことが多過ぎて、たぶん書ききれないだろうと思ったからです。

そんな中でも、今日は僕が一番好きな名著である重力ピエロについてお話しします。

僕は3〜4回ほど読みました。好きすぎて。

伊坂幸太郎作品は、今のところ数冊だけ所有しています。

以前は作品全てを所持していましたが、ミニマリストとして活躍し始めましたので、泣く泣く売り払ってきました泣。

それでは本作品を紹介させていただきましょう。

重力ピエロとは?

伊坂幸太郎の作品の中で一番をあげるなら、まず間違いなくこの作品をあげます。

僕はミステリーがもともと好きなのですが、伊坂さんの小気味良い文体・あっけらかんとしたキャラクターに惚れ込み、さらに大好きになりました。

ブログの文体も、彼から多大な影響を受けています。

そして伊坂さん自身も特別視する作品が、この「重力ピエロ」なのです。

メインとなる登場人物は2人。血の繋がりのない兄弟の「泉水」と「春」です。

察しの良い方はすぐに2人の共通点に気付くかと思います。これは本でもすぐに明かされるのでぜひお考え下さい。

この本を簡潔に説明するならば、家族の愛ですね。

とても暗い内容なのですが、それがまた飄々としている弟の「春」とコントラストになっていいんですよね。

ちょっと陰鬱なのは苦手という方は、爽快なエンタメをご用意しております。

陽気なギャングが地球を回すが超オススメです。ぜひ。

鬱屈としたストーリー展開であるが、とても感動できる今までにないミステリー。

最初の一行でやられる

なんと言っても最初の一行が圧巻の幕開けです。

ネタバレとまではならないですがご紹介させていただきます。

春が二階から落ちてきた。

これがホントにすごいんですよね。

まず「春って…季節のことだよね?」と思っている人からすると「なんて詩的な始まり方なのだろう」と思ってしまいます。

実は春は人の名前だよという言及があって、クスッと笑ってしまいます笑。

この一文に深い意味はないのですが、最後に大きな意味を持ってきます。

そこから春という弟の存在が「ずっと謎めいた役」として描かれていきます。

最初の一行でも読んでみれば、すぐに魅了される。

散りばめられた伏線

伏線でも伊坂幸太郎さんの作品は特に意味のない、というかあまり大きくはない伏線がたくさんあると思っています。

序盤から春が「性的なもの」全般に対して、ものすごい嫌悪感を持っている描写が描かれます。

それはなぜなのかが後々描かれ、しっかりと最後まで意味を持つことになります。

そしてそこに何故か出てくる、

  • マイケルジョーダン
  • ピカソ
  • ガンジー
  • グラフィティーアート
  • 連続放火
  • 遺伝子配列

これらの「何でもないような内容」が、最後に全て意味を成して繋がるんですよね。

「誰がこんな結末を予想できたのだろうか」というほど、キレイに全てが繋がります。

面白い登場人物から謎めいたキャラまで、多くのキャラが出てくるのにも関わらず、凡人と思われた兄の「泉水」や父の存在も、実は重要な存在だったのだと分かってきます。

兄は必死に謎解きをしていきますが、これもまた最後に面白く繋がってきます。

文体もリズム感があるためスラスラと読めますし、何より読者は、上記のキーワードの羅列を兄の泉水と一緒になって解くことに必死になります。

いわゆる「平凡なミステリー」と差別化されている魅力が、ここにあります。

この奇妙なピースがなぜか首尾よく整列して行く最終段階には、舌を巻かざるを得ません。

互いに関係のなさそうなピースが、最終局面で一気に回収されていく。

小さくて壮大な家族愛

春が「性」について悩み、早くに亡くした母に対する思いがあるものの、最後に全てを救ってくれるのが父の存在です。

余談ですが、実写版ですと、

  • 兄の泉水が「加瀬亮」
  • 弟の春が「岡田将生」
  • 父が「小日向文世」

という豪華な顔ぶれです。

この小日向さんの演技が抜群でして。

鬱屈とした兄弟の暗い過去と現状を、最後に一言でひっくり返してしまうんですよね。

読者からすると憤怒さえ感じる深刻なテーマが描かれているのですが、その内容は「家族という集団」から逸脱しない、小さな世界のお話なのです。

一見社会的なテーマを問うてるように見せて、実はとても身近な話題。

それがリズム良い文体で書かれて、これがまた登場人物の異常さを浮き彫りにします。

けれども彼らにも、それぞれのぬぐい切れない壮絶な過去があるんですよね。

読んでいくと訳が分からないものの連続なのに、最後にはストンと落ちるこの読後感は、伊坂幸太郎にしか書けないものだと、この作品を初めて読んだ時は驚きと感動が一気に押し寄せてきたものでした。

最初は頭の中がぐちゃぐちゃして始まり、何がなんだか分からなかったのですけれど(兄の泉水が読者目線に立ってくれます)、終わった後にフッと笑い飛ばして、何も残さないこの後味の良さ。

壮絶な話のはずだったのにスカッと終わってしまう。

それでいて「家族という小さな枠組み」の、温かくて強い愛を感じることができる。

そんな作品です。

家族愛とミステリーの融合、そして読後感の爽快さが半端ではない。

おわりに:重力ピエロから学んだこと

登場人物は突拍子もないことばかり言うのですけれど、一貫して何かしらの揺るぎない信念を持ち合わせています。

読み進めて行くと実は合点がいくことばかりで、謎めいた行動の裏側にその人物の過去やトラウマが描かれていきます。

みんな生きていくことに必死なんですよね。

読者はその様子をまざまざと見せられるのです。

自分だったら耐えられない過去も、登場人物たちは他人にそれを明かさないまま、懸命に乗り越えようとしていきます。

そして最後はそんな壁を、ひょいっと軽く飛び越えてしまう。

ここに重力ピエロの魅力があります。(ちなみに題名もその部分から取られています)

伊坂さん自身も重力ピエロには特別視しているほどですし、この作品は僕にとっても特別な一冊となっています。

  • 小説の面白さ
  • 文を読むことの悦び
  • 最後のどんでん返し
  • 笑いと感動が混じり合うストーリーライン

伊坂さんの作品で初めて出会った作品が「重力ピエロ」でしたので、そこから「伊坂さんの作品を読みたい!」と思うのに時間はかかりませんでしたね笑。

こうしてブログを書く楽しさも、もしかしたら間接的に小説で得た悦びを糧にしているのかもしれません。

伊坂さんの作品は「緻密さ」と「知識量」に圧倒されるのですけれど、一方で、

「人生いろいろと悩むかもしれないけれど、意外とシンプルなものなのよね」

と思わせてくれるので、たまに読みたくなるんですよね。

新刊も出るたびに読まさせていただいていますが、やはり王道である「重力ピエロ」から読み始めることをオススメします。

他作品だと、

  • アヒルと鴨のコインロッカー
  • オーデュボンの祈り
  • 陽気なギャングが地球を回す
  • チルドレン
  • ラッシュライフ
  • 砂漠
  • オー!ファーザー

など名著が目白押しです。

ぜひ外出がしづらいこの機会に、伊坂幸太郎という男の作り出した世界に飛び込んでみるのはいかがでしょうか。

それではまた!

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