30代教員が校則について議論する【指導は8割くらいでいい】

人間関係

こんにちは。すずきです。(@seiz_suzuki

今回は「校則とその指導の仕方」について書いていきます。

以前も校則については書いたことがありますが、また今日改めて思うことがありましたのでお伝えしていきます。

指導は8割くらいの成功率でよい

これは何の数字かと言いますと、僕が思う指導の行き届き方の割合です。

本日は「パーカーやトレーナーの禁止」が、学年会の議題にあがりました。

個人的には何を着てもいいと思っていますが、学校にはある程度のルールも必要だとも思っていますので、黙ってお話を聞いておくことにしました。

意見としてあがったのは「学校全体として取り組んでほしい」というものでした。

確かに目立つ生徒もいて、その生徒のために日々奔走している先生からのご意見でした。

僕は学校全体を見渡してみて、「そんなに気になるかな?」と思ったのが正直な感想でした。

しかも各先生方が(レベルは違えど)日常的にしっかりと注意しています。

学校としても特に問題はないと思っていました。

しかし、よくよく自分の過去を振り返ってみますと、僕も若い頃、同じような要望を同僚の先生にぶつけていた時期がありました。

  • あの生徒です!あの生徒だけルールを守れていないじゃないですか!
  • ちゃんとルールを守っている生徒が割を食うなんておかしいですよ!
  • 余すことなく指導しましょうよ!

と詰め寄ったことがあります笑。

その時、同じ指導部の先生がポカンとした顔をして「そんなに気になる?」と返してきたことを今でも覚えています。

そうです。当時のその先生の反応は、「現在の僕と同じ反応」だったのです。

なぜ今、僕もそこまで気にならなくなったのか。

今ならちゃんとお伝えすることができます。

それは8〜9割の生徒は、校則を破ろうとしていないですし、先生に歯向かおうともしていないからです。

目立つ生徒がいたところで、その生徒たちをしっかりと指導すれば、僕はそれで十分だと思っています。

何度言ってもわからない場合は「指導無視」で、指導レベルを上に上げていけばいいだけなのではないか、と。

ちなみに「他の生徒が割を食っている」という考え方は、僕が若い時に教頭先生から諭され、妙に納得したことを覚えています。

「すずきくん、真面目な生徒たちが割りを食っているわけではないんだよ。しっかりとやろうとしている生徒は、特にそこまで何も感じていないものだから」と。

そうなんですよね。

「あいつだって着てるじゃないか!」というやつに限って、逆にそいつがルールを破りたがっているやつなんですよね笑。

そういう生徒ほど自分の権利を主張したがるものです。

  • あいつもやっているんだから俺もやっていい。
  • 先生たちが注意しきれていないから、こうした抜け穴を通っていくやつがいるんだ。
  • 先生たちの指導の仕方が問題なんじゃないか。

と。

そんなの通用するわけがないのですけれど、先生のせいにしたがるのです。

つまりその「ルールを破っている少数派」をまとめて叩くことが必要な措置であり、真面目にやっている生徒はそもそもそんなことを気にしていないのです。

学校でも違反行為に対しての注意はしているし、8〜9割の生徒がきちんとこなせているのであれば、それで御の字じゃないのかなって思うようになりましたね。

僕も丸くなったものです。

相当な困難校でない限り、生徒指導は8〜9割行き届いていれば学校は穏やかである。気になる生徒が少数であるならば、そこを徹底的に叩けば大丈夫だ。他の真面目な生徒は気にもしていないことが多い。

「教員全員の指導の徹底」→不可能

僕自身、甘い考えもありますし、指導が苦手だという自負すらあります。

「僕がブチギレた時は、学校の終わりだ」と前もって生徒に言ってありますし、うるさい時に僕が注意してもなかなか静かにならない時は、ひっそりと「おい、次はねぇぞ」と言うか、ものすごい大きい声で「お”い!」と叫びます。

こわいこわい笑。

それくらい「生徒指導を徹底してやる」ということに対して、僕の腰は重いのです。

沸点が高いと言うんでしょうかね。

  • 各先生のキャラクター
  • 人柄
  • 生徒との信頼関係
  • 部活動内での関わり

など、多くの複雑な関係の中で成り立っている部分でもありますので「いいから指導に従え!」という指導ほど効果のない指導はないと思っています。

そこで今回議題にあがった「学校で統一してほしい」という言葉に、半分は賛成し半分は反対しました。

全職員に周知徹底するのはいいことですが、「同じレベルで徹底して指導しろ」はハッキリ言って不可能だからです。

生徒との関係が出来上がっている先生なら言えることもあるでしょうし、理解の速い生徒ならサッと違反行為をやめて従ってくれます。

生徒に対して複雑な感情を持たずに「おい、やめろ」と指導することができる先生もいれば、「めんどくさいなぁ…」と思っている先生もいます。

全職員を一堂に集めて「先生方、指導の徹底をお願いします」なんて、無意味もいいところです。

それよりもシステムを改善・徹底することのほうが、指導上うまくいきやすいと思っています。

  • 違反行為を見かけたら、誰であってもその場で注意をする。

このことを、「生徒も先生も理解した上で」学校が回っている状態を作ります。

いつも従う生徒ならすぐにやめるだろうし、こちらとしてのメンツも保たれます。

もしその生徒が聞く耳を持たなければ、

「俺は1回注意したよな?それでもお前はやめなかった。これはイエローカードだな」

と言い、事前に「3回注意で保護者連絡」のような形をとっておけば丸く収まります。

「だってあいつもやってるから」ではなく、みんなそうやってペナルティが課されるという平等の下であれば、いずれ違反行為の根絶に近い形へと持っていけると思います。

他にも、

  • 注意が難しければ各自メモ等を残しておけば、1人の生徒に対して多くの教員から「違反行為を見かけたよ」というメモが集まる。

こうすれば「お前ちょっとこっちにこい」と、指導を積極的にできる複数人の先生方で改めて呼び出すことも可能です。

あるいは、

  • 「一斉摘発」をする。

これもいい手法だと思います。

同じタイミングで指導対象となれば「あいつもやっているから」という言い訳はできなくなりますし、指導力に不安のある先生が「ちゃんと指導してくださいよ」という非難の対象になることもありません。

そうやってシステムを確立させることに注力することのほうが、先生の指導力を上げることよりも効果的で、ルールの抜け道を見つけようとする生徒の逃げ場を塞ぐことができると思います。

教員の指導力に依存するのはやめよう。学校としてシステムを確立して、組織として校則無視を許さないという姿勢のほうが効果的だからだ。

根絶することが目的ではない

今回の件では「パーカーやトレーナーの禁止」が話題にあがりましたが、他にもピアスや染髪なども横行しています。

しかしそれはあくまで「少数派」にすぎません。

冒頭でも書きましたが、逆に学校の6〜7割の生徒がそのような違反行為を平気で行なうような状態であれば、その学校はすでに終わっているということになってしまいます。

「先生が生徒をコントロールできていない」という状況ですから。

学校を見渡す限り「大半の生徒」は割と真面目に取り組んでいますので、「指導に従おうとせずに毎度違反行為を繰り返す生徒」に対してだけ厳重注意を行えば、それでいいのではないでしょうかね。

あるいは違反行為が散見されるのであれば(あまり違和感はありませんでしたが)、再度全体に注意喚起し、様子を伺うのもいいかと思います。

「全ての違反行為を徹底的に根絶しよう!」

という姿勢は、指導のあり方としては正論に見えますが、同時に「教員たち側の首を絞めること」にもなります。

それは、指導者側も徹底した指導を心がけなければならないからです。

仮に根絶が成功したらしたで、結果的には良いかもしれませんが、お互いかなり消耗してしまうでしょう。

また「違反行為をさせないようにする」という指針を念頭に置くことは確かに良いことですが、それを「0」にしていくことが果たして学校の目的かと言われますと、そういうことではありません。

そのような行為を見かけたら、きちんと対応して注意し、指導する。

それでも指導に従わないのであれば、そこで初めて「学校として」取り組むのがいいのではないのかなと。

既に大半の生徒がいい空気感で学校生活を送れているのであれば、それ以上ムキになる必要はなく、学校のシステムを改善していくことで言い訳をさせなくすればいいのです。

学校として校則に反することや、道徳的・倫理的違反に注意と指導が入ることが大切なのであり、常に0を目的にしてしまうと手段と目的が入れ替わってしまう。大切なのは「教育」であり、生徒に正しいことを伝えていくことが教師の役割だ。

おわりに

「あの…。

学校全体のほとんどの生徒が、ルールを破っているような感覚って、みなさんホントにありますか?」

と会議中に聞いてしまいました笑。

僕は学校全体として「概ねできている状態」であれば、最後の最後まで反抗してくる生徒は些末な問題でしかないと思っています。

あとはむしろ、各個人を呼び出して話し合うべきでしょう。

毎度イタチごっこのように注意と指導を繰り返すのも消耗するだけですし、「指導に従わない生徒の担任の指導が悪い」という理不尽な批判も飛んできてしまいます。

全くもって理解できませんが。

そこは最後の「詰め」の作業に過ぎず、なぜそんなにも「もっと学校として取り組んでいかなければ!」と思っているのかが分かりませんでした。

しかし話を聞いていますと、多くの先生たちは指導に従わない生徒にスポットライトを当て過ぎているように見えたので、なるほどなと理解しました。

そうした生徒は目立ってしまうのですが(というか目立ちたくて、かまってほしくてそうしているのですが)そこを突っつくために、

  • 「全教員の意識改革を」とか、
  • 「もっと徹底しましょう!」

と言ってしまっているのです。

木を見て森を見ず

各先生方の「違反行為をする生徒に対して感じるイラ立ち」を否定するつもりはありませんが、小さなところに躍起になっているのであれば、それは力の入れどころが違うのではないのかなと思います。

まずは学校全体を見渡してみて、

  1. どれほどの生徒が「指導逃れ・逃げ得」をしようとしているのか。
  2. そしてそれがどこまで深刻なレベルなのか。

これらを見極めることが第一歩でしょうかね。

相変わらず生徒指導は正解がなくて難しいですが、少しでも先生方の参考になれば嬉しいです。

それではまた!

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