こんにちは。すずきです。(@seiz_suzuki)
先日、生徒たちによる1年間の集大成の発表ということで、3年生による研究発表会が近くの市民ホールで行われました。
高校生ながらパワポ(Googleスライド)を駆使し、よくやっているなぁと感心してしまいました。
一方で、教員として人の前に立つことが多い僕ですので、見ていて感じたこともありました。
先生として、
- 授業がつまらない。
- 話が面白くない。
- 聞いてて飽きる。
- 眠い。
と言われてしまっては、教師として立つ瀬がないというものです。
今日はそんな教師である僕の、「プレゼンにおいて気をつけていること」を語っていきます。
参考になれば嬉しいです。
相手の立場に立ってみる
先生となって早8年が過ぎましたが、まず僕が「パワポや黒板」を使う時に気を使っていることは、「生徒からどう見えているか?」です。
要は「生徒の立場に立ってみる」というものですね。
例えば、
- 字の大きさ
- 字の色(黒板に赤・青チョークは見づらいので避ける)
- 配置
- スピード
などです。
特に「字の大きさ」に関しては、黒板だろうとパワポだろうと大きすぎるくらいがちょうどいいと思っています。
パワポの注意点1:スライドの情報量
「パワポ間違いあるある」では、1つのスライドに情報を詰め込みすぎるというものがあります。
特に「読む原稿」をそのまま載っけてしまっている人は多いはずです。
2. SVC
3. SVO
4. SVOO(第3文型に書換え可)
5. SVOC(O=C)
ちなみに下の「OK」のスライドも、第4文型と第5文型は追加情報がありますので、その2つの文型はあえて2つ目のスライドに移してもいいくらいです。
それか、文型を1つずつ1つのスライドで説明してもいいかもしれません。
スライドは何枚使ってもかまいませんからね。
(ちなみに僕がパワポを使うとき、文字は「バカデカいサイズ」(72pt)にしています笑)
上の「NG」のスライドですと、
- 「読むのが大変、面倒」
- 「情報量が多過ぎてちんぷんかんぷん」
- 「そのまま読みあげるくらいならPDF化してくれ」
など、ツッコミどころが満載です。
みなさんは「こんなパワポなんて、作るわけないじゃん笑」と、思っているはずです。
しかし残念ながら、教員の研修会に行きますと、圧倒的に上の「NG」のほうのパワポのスタイルが多いのです。
- 資料として配布したいのか?
- わかりやすく伝えたいのか?
この軸を間違えてしまいますと「それ、パワポじゃなくていいじゃん」と突っ込まれてしまいますので、要注意です。
パワポの注意点2:スピード感
情報量が限られてしまうのが、パワポのデメリットでもあります。
昔から「黒板は優秀」と言われているように、しっかりと計画して板書すれば、黒板のほうが効果的な場面もあります。
一方で時代の移り変わりは速く、デジタルで全てやってしまうことほど楽なことはありません。
先生たちも続々とパワポを使い始めています。
パワポと黒板の大きな違いは、「情報が残っているかどうか」です。
優秀な生徒たちを相手に授業をしていくのであれば、パワポはスピード感も情報量もケタ違いですので、一度作ってしまえば同じ授業を他のクラスでも展開することができて、とても効率的です。
ただし理解スピードがゆっくりな生徒たちを相手にしますと、
- そんなにテンポよく進むことができなかったり、
- 書き損じていたり、
することが多々あります。
黒板であれば、ある程度の時間が経ってしまっていても先生が書いたものが残っているため、ゆっくりと書き写したい生徒にとってはありがたかったりもします。
また「板書している時間は無駄だ」と捉える人もいますが、一方で「先生が書いている時間のおかげで、板書事項を書き写すことができている生徒」もいることを知っておくと良いです。
「であれば、授業で使ったパワポを生徒と共有すればいいのでは?」
という考え方もアリです。
実際に僕もやりましたし、「共有」を行なっている先生も多いです。
ただ「その授業内で伝えることを優先している」のであれば、パワポにはあまり情報が載っていないケースが想定されるため、
「自分のスマホで『今日の授業のパワポ』が見られるんだから、授業自体は速く進んでしまうからね」
と言ってしまうのも、少し乱暴です。
以下のように、
- 無駄な情報を削ぎ落としたパワポで授業(伝える)
- 詳細を載せた参考資料を共有(復習させる)
が、ベストでしょうか。
「もともとある教材」で見合うものがあればよいのですが、先生たちは往々にして、オリジナルで生徒に合わせてわかりやすいように素材を編集します。僕もです。
上の2つをこなそうと思うとかなり時間を要しますが、授業において穴なく良いものを提供したいのであれば、追求すべき点ですね。
「黒板スタイル」の場合は、板書後に写真を撮って生徒と共有している先生もいます。
どちらにもメリット・デメリットがありますので、ご自身のスタイルに合わせて授業展開をしていくとよいでしょう。
つまらなくしているのは話し手のほう
パワポでも黒板でも、あるいは完璧に作り込まれた資料が手元にあったとしても、先生の「伝える力」がなければ「機械で済む話じゃん」と言われてしまうのがオチです。
以前にも、授業中の雑談を大切にしているという記事を書きましたが、
だからこそ先生たちは、「生徒に話しかけるように授業する」ことが望ましいと思っています。
当然ですが、
- 作ってきたパワポの台本を読むだけ。
- プリントを最初から最後までただただ読んでいくだけ。
- 生徒の反応に応えず、ただ淡々と進めるだけ。
- 間違った答えに対して解説をせず、訂正するだけ。
ですと、
- 「生徒にプレゼンしている」
- 「授業をしている」
という感覚にはならないのです。
確かに中には、
- ただ淡々と授業をしてほしい生徒
- そういうスタイルが好きな生徒
もいます。
しかし教員として、
- 「淡々と」か「面白く楽しく」のどちらかの授業スタイル「しか」できない先生
- どちらもできるけれど、生徒に合わせて切り替えることができる先生
であれば、後者の「2」の先生のほうが様々な生徒に柔軟に対応することができるのです。
これは授業の話にとどまりません。
教員の授業研修に行きますと、大人である教員を相手にしているはずなのに、淡々とつまらないプレゼンをする人が多いのが現状です。
別に「すべらない話をしろ」とか「もっとモチベーションの上がる話をしろ」と言っているわけではありません。(僕もできません)
ただ単純に、以下のようなパターンが非常に多いのです。
- パワポを読むだけ。
- スライドを進めるだけ。
- 問いかけや応答がない。
- 決められた時間内に終わらせるためだけに、用意されたスライドとプレゼン。
などですね。
研修を受けているこちら側が、
「コイツ、相手を楽しませる気はないんだな?」
と思ってしまうのです。
あれだけ、
- 「生徒との対話を大切に」とか、
- 「生徒をやる気にさせる授業を」
と言っているのにもかかわらず、です笑。
自分たちがそんなプレゼンをしているから、生徒たちだけでなく先生たちからも「なんだよその眠くなるプレゼンは!」と思われてしまうのです。
「淡々とプレゼンすることが悪である」
と言っているわけではないのですが、たとえ大人であっても、聞いている側だってその時間内で存分に学びたいですし、思いっきり楽しみたいですよね。
相手が生徒であれば、その気持ちはなおさらです。
授業にもエンタメ力を。
「正義」とは言いませんが、僕が意識していることは、
- 大きな声で、
- 楽しく、
- 時に生徒に問いかけたり当てたりして、
- 雑談を交えながら相互作用し、
- 緩急をつけて、
- 授業という名の「エンタメの時間」にする。
以前にも、「オンライン授業でのエンタメ性」について記事を書いています。
自分でもなかなか大層なことを言っていますし、「毎回それだと鬱陶しい」と思われるかもしれません。
「小学生の先生じゃないんだから笑」と。
しかし、昨今のYouTuberなどの配信者たちが、画面越しに元気に動画配信をしているように、僕ら先生たちも、
「ある程度、ピエロになりながら楽しく授業をすること」
は、大いに価値のあることだと思っています。
明るくて元気があり、いつも笑っているからこそ「またこの人の動画を見たいな」と、僕自身も思うからです。
YouTuberやセミナー講師と一緒にするつもりはありませんが、それくらい「教師側のエンタメ力」があるに越したことはありません。
無理してやる必要はありませんが、やっているこちら側も楽しくなってきますのでオススメです。
授業の専門知識があることはもちろん大前提ではありますが、
- 伝え方
- 引き込む力
- 分かりやすい解説
などを全部ひっくるめて「授業」です。
先生が「頭でっかち」でいるだけでは、生徒も「退屈だなぁ」と思ってしまいます。
「授業」を「いちプレゼン」だと思って取り組むと、教室に活気もあふれて楽しい時間となります。
また「楽しさ」だけを追求することなく、
- 真剣に授業も進めて、
- 生徒たちの理解もあって、
- 成功体験を積ませる。
と、バランスをとっていくのも大切です。
とても難しいことですが、それを追求していくのも授業の楽しさなのですね。
まとめ
パワポでプレゼンテーション(授業)をするのであれば、
- 「伝えること」を最優先する。
- 原稿など大量の情報を載せすぎない。
- 「読むだけ」で終わりにしない。
- 相手の立場に立って見やすく、分かりやすく。
- 相互作用、やりとりを大切にする。
- 明るく、楽しく、笑顔で。
- 聞き手が「学んだ」「何か得た」「楽しかった」「また聞きたい」と思えるように。
- 「つまらない」ものは誰だって聞きたくない。
このような点を意識するのがよいのではないでしょうか。
僕も先生になってからすぐにパワポで授業をしましたが、よく放課後に自分のパワポを一番後ろの席から見ていました。
- 「見えづらくないかな?」
- 「このスピードだと速すぎないかな?」
と気にしていたからです。
いつになっても、授業は「改善だらけ」です。
なんども見直すからこそ、経験としてどんどん蓄積され、改善され、よりよい授業になっていきます。
僕もまだまだです。
生徒たちが、聞いている人たちが、楽しめるような授業やプレゼンを、ともに目指していきましょう。
それではまた!
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