こんにちは。すずきです。(@seiz_suzuki)
僕は「小さなイベント」を主催していくことが好きです。
あろうことか「教師という権利」を乱用しまして笑、僕はダンス部顧問として「引退公演」を生徒たちに提案したことがありました。
これは僕がサークル時代に経験したことであり、大学4年生が最後の公演をサークルの内輪で行なうことによって、現役生たちが大泣きするという「追い出し会」のようなものです。
高校のダンス大会は、夏に大きな大会があるとはいえ、勝ち進むことができなければその場であっと言う間に終わってしまう、甲子園みたいなものです。
それもスポーツっぽくていいのですが、僕が経験した「引退公演」はとても感動したものでしたので、
「なんとかして高校生たちに、このような経験をさせてあげられないかな?」
と、当時思ったのでした。
今日はそんなイベント主催の道のりを書くことで、どこかのダンス部のお役に立てればと思っています。
引退公演までの流れの作り方
引退公演を行なうためには、ざっくり決めなければならないことがあります。
- 日時
- 時間帯
- 場所
です。
当たり前かつとてもシンプルですが、部活動の強い学校ほど、場所の制約が強いということは、部活動をやっていればわかるかと思います。
1つずつ順番に見てみましょう。
日時(大枠)の決定
まずはダンス部員たちと、
「どこが3年生にとってラストを飾る日になるだろうか?」
と話し合います。
当時は進学校にいましたので、「受験」という制約がありました。
つまり3年の夏は勝負の時であり、
- それよりも前か
- それよりも後か
というシンプルな枠取りからスタートします。
しかしご存知のように、
- 共通テスト(旧センター試験)
- 国公立2次試験
などは1〜2月に集中しており、引退公演の練習日程まで加味しますと、「夏以降の公演は不可」ということになります。
すると「夏休み/夏休み前」という選択肢が残り、受験勉強があることを考えた末、夏休み前の公演が決定しました。
今度は細かな日程調整に入ります。
日時(詳細)の設定
部活動の活発な学校ですと、場所を取るのが大変です。(後ほど詳述します)
例えば「体育館で公演を行ないたい!」と言っても、平日も休日も部活動で目一杯です。
他部活の練習場所を公演のために使うわけにもいきませんので、
- テスト期間
- テスト返却
など、午前中で授業が終わる日を狙うことにしました。
授業が終わってすぐに、お昼頃から1〜2時間程度の公演を予定することにしたのです。
放課後ではないですので、
- ある程度場所が空いていること
- 多くのお客さんが見にきてくれること
がメリットとしてあげられます。
学校にもよりますが、
- 中間テスト
- 期末テスト
- 終業式
あたりに組むのがいいと思います。
場所の確保
ここが大きなポイントです。
文化祭であれば、お祭りの花形として、堂々と体育館で公演を行なうことができますが、
- ダンス部による
- ダンス部の引退公演
となりますと、体育館を使うのは少々厳しいです。
当時は体育館を使うこともできたのですが、
- こじんまりとやりたい
- 音響や照明などが使いやすい
- 他部活とのバッティングを避けたい
という理由から、結果的に武道場を使わせていただく運びとなりました。
その際は、
- 武道場の管理をされている部活動(顧問)に話を通す。(剣道部や柔道部など)
- いつ何時に使うのかを伝えておく。
- 最低限のマナー(練習は裸足でやるなど)を守ることを約束する。
などの根回しが必要です。
また、「外部のクラブハウスを貸し切る」という案もあるかと思いますが、
- 高校生にお金を払わせる
- 行なうとしても休日となってしまう
- お客さんが来にくい
といった理由から、
「他の部活動の生徒や保護者が来やすいように、学校を会場にするほうが良い」
という結論になりました。
会場のセッティング(暗幕)
日時と場所が決定しましたら、
「会場をどれだけ感動的なものにできるか」
が大切になってきます。
クラブを貸し切るわけではありませんので、自分たちで会場を作っていかなければなりません。
まず一番大切なことは、「会場を暗くすること」です。
- 夜ではなく日中にやること
- 思いっきり日差しが入ってきてしまうこと
から、暗幕を張ることにしました。
- 理科の実験室にある暗幕
- 文化祭のお化け屋敷でつかうための暗幕(生徒会)
が欲しかったため、お願いをして拝借し、武道場の高い部分は危ないため、僕自身が脚立を使って張ることにしました。
会場が暗くなれば、
- 照明
- 音響
を準備し、あとは演者が踊るだけとなります。
会場のセッティング(照明)
武道場という狭い空間ですので、スポットライトが2つあれば十分でした。
(その後予算立てをして、下から顔を照らす照明機器なども購入しています)
よく、体育館の2階部分にスポットライトがありますが、
- 重かったこと
- うまく機能しなかったこと
などから、生徒会室にあったものを借りることとなりました。
普通にコンセントを挿してしまいますと、スポットライトほどの電気量ではショートしてしまいますので、ドラム式の延長ケーブルを拝借し、別の場所から電気を供給しました。
これによって、
- 暗い会場
- 演者たちの顔を見せるための明かり
の準備が整いました。
会場のセッティング(音響)
正直なお話をしますと、音響のセッティングは放送部に任せていました。
また「軽音部/放送部」の顧問であった「DJ経験のある先生」も巻き込むことで笑、そちらの生徒たちにも公演を完成させるお手伝いをしてもらいました。
- スピーカー
- 配線
- MC用のマイク
- PA(音響機器のこと)
スピーカーは後ろから2台、爆音が流れるようにしておきました。
ダンスをしている人ならわかりますが、「返し」というスピーカーも実は必要です。
それは「演者の前に置くスピーカー」のことであり、その音があることでテンポが狂わなくなります。
いろいろ配線を試しましたが、残念ながら置くことができなかったため、後ろのスピーカー2台から、できる限り大きな音を出すようにしました。
スピーカーは軽音部や放送部から借りました。
……………………
お疲れ様でした。
これで会場の準備が整いましたね。
武道場ですので、ステージがあるわけではありません。
足元は見えづらいものとなりますが、お客さんが一番前に座って、一体感を感じることができますので、僕はこの形が好きですね。
集客の仕方
年を重ねていくごとに、引退公演は異常な盛り上がりを見せました。
「ダンス部の内輪でやるもの」として作り始めたものですが、結果的には、
- 多くの部活動の生徒
- 多くの先生方
- ダンス部員の保護者たち
- ダンス部員の卒業生たち
が駆けつけてくださり、カメラを構える人も出てくるなど、会場は夏であるにもかかわらず、異様な熱を帯びていました。
生徒はSNSの使い方がうまいこともあってか、
- フライヤー(小さなチラシのようなもの)の画像を作成し、
- Twitterやインスタに貼り付けて呼びかけ、
日時と場所を多くの人に告知していました。
その際、僕が生徒に伝えていたことは、普段の生活や態度のことでした。
- 学校で公演を行ない、
- 学校関係者を集める
ということは、彼らに対する周りからの信頼がなければ成り立ちません。
「ここのダンス部の子たちなら、応援したい。駆けつけてあげたい」
そう思われるように、部活動も一所懸命やり、礼節さや態度にも気を使うように指導しました。
こうして、
- 会場
- 演者たち
- お客さん
がそろえば、いよいよ引退公演の開始です。
ここまでそろえたら、あとはダンス部の子たちが、
- 当日のスケジュールを組み、
- ダンスの練習をする
だけです。
そこは全て生徒たちに任せました。
こうして生徒たちは、感動の時間を経験することになったのです。
頑張る姿に、全力で応える。
生徒たちが頑張っている姿を見ていますと、僕自身も「なんとか成功させてあげたい!」と思うものでして、一番動いたのは僕だったと思っています。
- 暗幕
- 先生方への根回し
- 保護者への通知
- 部員とのやりとり
- 放送部へのお願い
- 事前の予告(メイキング動画)の作成
など、とにかく走り回っては、必要な要件をそろえて本番に臨みました。
これは何も、
- 「僕はがんばりました」
- 「顧問としてよくできました」
と言いたいわけではありません。
言い出しっぺということもありますが、何かを成功させたいと強く願うのならば、自分が血や汗を流さなければならないということをお伝えしたいのです。
部活動に対してはいろいろと思うこともありますが笑、一方で、
- こうして自分のやりたいことや、
- なんとか生徒たちに経験してほしいこと
に対しては、すべての時間を費やしていましたね。
生徒たちはその日を迎えるまで全力で練習しており、3年間関わって来た顧問としても、その頑張りに応えてあげたいと思っていたものです。
彼らの頑張りが僕の心を動かしましたし、だからこそ僕は彼らに対して、
- 人への感謝すること
- 普段の礼節さや態度を守ること
を忘れないように伝えました。
多くの人の協力で、その公演が成り立っていることが理解できれば、生徒たちも一入(ひとしお)にやる気が満ちて、自分たちの公演に責任を持つようになるからです。
周りへの感謝を忘れさせない
僕が部員たちに伝え続けたことは、「感謝することを忘れないこと」でした。
ダンス部の公演(文化祭含める)は特殊なものであり、普通のスポーツの試合とはわけが違います。
- 企画してくれる人
- 準備してくれる人
- 当日支えてくれる人
- 見にきてくれる人
など、多くの人が関わって公演が成り立っているからです。(試合でも多くの人が関わっていますが)
当時は放送部や剣道部まで巻き込んでいたことから、年々協力者が増えていきました。
特に放送部の子たちは、
「リハーサルを一緒に見てもいいですか?照明のタイミングのリハーサルをしたいので」
と、仕事(部活)に対する「ガチ勢」が現れ始め、しまいには放送部員たちが大泣きして公演が幕を閉じることもありました。
彼らにもプライドがあり、そこに責任や仕事を与えてあげることで、僕らダンス部と一体となって公演を成功させることができるのです。
部活と言えば、よく輪になってミーティングをしますが、僕は必ず放送部の子たちも呼んでいました。
ダンス部員たちから、
- 「よろしくお願いします!」
- 「ありがとうございました!」
と伝えるようにさせるためです。
ダンス部の子たちに、
- 「誰かが勝手にやってくれている」
- 「公演で踊ることができればそれでいい」
と思うような人間には、なってほしくなかったからです。
すると主役であるはずの彼らが、感謝を持って踊ることができるようになります。
そうなれば周りに賛同者や応援者が増え始め、よりイベントに熱が帯びるようになるのです。
「引退公演をやってみたらどう?感動するよ」
とボソッと僕が提案したものが、なんと数年で最高のイベントに成長しました。
それは他ならぬ、彼らのポテンシャルのおかげです。
今の若い子たちは、人として一番大切なものを持っています。
先生たちはそれに気づかせてあげたり、伸ばしてあげたりすることで、未来の貴重な人材を次世代につなげていくことができると信じています。
おわりに
公演では後輩たちが泣きはらし、他の部活動の子たちも一体となって感動の時間となります。
先生たちも楽しみにしてくれており、何より僕自身が楽しんでいました。
- MCをして場をつなぎ、
- 自分も休憩時間に踊る
という、「本当に黒子なのか?」と思わせるような動きっぷりでした笑。
自分が学生時代に体験した「間違いのないもの」を、お金をかけずにどこかでこうして形にすることは、最初は難しいと思えたものでした。
- うまくいかない日程調整
- 面倒くさい先生たちへの根回し
- 酷使する自分の時間
それでも、やると決めてしまえばこちらのものです。
- なんとかして日程を調整し、
- 先生たちに頭を下げ、
- 動画編集や会場準備を徹底的にやる。
そうなんです。
どうとでもなるのです笑。
そこに、
- 圧倒的な熱量と
- 動き回る行動力
さえあれば、必ずできるのです。
そして、感謝を忘れないこと。
こうして僕がいたダンス部は、毎年「引退公演」を慣例化させることに成功しました。
難しいと思えるものでも、必ずできるという証明になりました。
自分を信じて行動し、感謝して、挑戦していきましょう。
僕にできたのですから、みなさんにも必ずできるはずです。
また僕も新しいイベントを開催できるよう、全力で立ち向かっていきたいと思っています。
それではまた!
コメント