30代教員がやりがい搾取について考える【先生の休日はどこへ?】

人間関係

こんにちは。すずきです。(@seiz_suzuki

先日、元同僚のお宅にお邪魔させてもらい、1年ぶりくらいに話すことができました。

お互いの現状報告としていろいろと話しましたが、僕としても非常に考えさせられる内容となりました。

今回は特に「部活動」について話しました。以前にも部活動のことについては記事にしています。

僕もダンス部の強い高校においては、野球やサッカーなどのメジャースポーツ(かつ練習試合を多く組むスポーツ)ほどではありませんでしたが、土日はほぼないに等しい状態でした。

今でこそゆったりとした「ほぼホワイトな働き方」ができているのは、部活動がほとんどないからに他なりません。

部活動の存在自体を否定するつもりはありませんが、やはりここにはメスを入れなければなりませんね。

早速一緒に考えていきましょう。

部活動がいいエサになっている

僕も「ダンスを愛する人間」として、ダンスを頑張っている生徒を応援したい一心で、部活動顧問を請け負っていました。

ただ今でも驚いてしまうのは「私は、部活動をやるために先生になった」という人が周りにいることです。

結論から言いますと、それは「一番あってはならないこと」です。

特に高校の先生とは専門教科を教えるために働いているのであり、「スポーツ関連のコーチ」としての対価が、給料として支払われているわけではないからです。

それが、「教員をやりたい!」と情熱を持った人たちをミスリードしまっている要因の1つでもあります。

部活動指導は、

  • 教科指導
  • グループ業務
  • 学校運営
  • 担任業務
  • 行事
  • 入試選抜業務

などの仕事が終わってから、初めて手をつけていい仕事です。ほぼ趣味と言ってもいいです。

「部活動ありき」でスタートしようとしている先生は、そもそもの出発点が間違っています。

生徒が「部活動をやりたい!」と思うことは結構なことですが、その願望に呼応できてしまう先生がいるため、管理職も「君にお願いできるかな?」と頼んでしまう流れができあがってしまったのです。

この「やりがいを搾取する構造」が昔からずっと続いており、いまだに散見されていることが大きな課題です。(多少は良くなってきているそうですが)

若い先生たちの中には部活動指導に疑問を持たないまま

やらなければいけない仕事じゃないんですか?!

と思っている先生がいるだけでなく、一方で、

  • 家族との時間を優先したい。
  • 部活に時間をとられたくない。
  • プライベートの時間をもっととりたい。

と「顧問を請け負いたくない」と、切に願っている先生たちもいます。

ただ「私は絶対に顧問はやりません」と言うことはなかなか難しく(人手が足りていないため)、泣く泣く顧問を引き受けているのが現状です。

  1. 顧問(部活動指導)をやるために先生になっている人(勘違い)
  2. 顧問をやることが義務だと思っている人(気づいていない)
  3. 顧問をやりたくないが仕方なく請け負っている人
  4. 絶対に顧問はやらないと反対する人

大体このパターンに分かれると思いますが、実際「4」のような感覚を持っている人はあまり見かけません。

それはつまり「部活動顧問は仕事のうち」という、謎の固定概念があり続けていることを意味します。

その固定概念を取っ払ってしまえばいいのでは?

と思うことは素晴らしいことですが、

そんな簡単に拒否できるなら、今すぐにでもしたい

と現職員である僕が言えば、みなさんもどういう状況なのかは分かると思います。

つまり、学校にある「部活動に顧問をつける」というシステム自体を変えなければ、根本の解決にはならないのです。

徐々に「部活動の外部委託化」が騒がれ始めていて、僕はそれこそが正しいムーブメントだと思っています。

しかし、それに反対する「部活動顧問をやりたい先生」がいることが、話をややこしくしています。(何てことをしてくれるんだ!)

今一度、教員になる時に「部活動のあり方とは何か?」を、各教員に確認すべきなのでしょうね。

部活動指導は教員において二の次、三の次の仕事である。先生の本分を見直して、教員の仕事に取り組んでいこう。

奪われた時間はお金に代え難い

以前書きました「部活に関する記事」では、

対価として正当な報酬があれば、教員たちもなんとか重い腰を上げて、部活動指導をするのではないか?

という意見を取り上げました。

確かに「稼ぎ」に直結しますし、僕もスズメの涙ほどでしかありませんでしたが、月に1〜2万円ほど上乗せで給料をもらっていました。

しかし正直に申し上げますと、対価として考えれば「安く買い叩かれている」という印象でした。

ではもし仮に、これが高額の報酬になったとしたら、先生たちは部活動指導をするのでしょうか。

正直、両方の考え方が出てくるというのが、僕の意見です。

  • バイトや副業感覚で時間を切り売りし、給与所得を上げたい人。
  • もらえる額に関係なく、とにかく時間を確保したい人。

この2つのように、人それぞれに違う価値観があるからです。

また「高額にすれば部活動をやってくれるだろう」という「お金頼みのカタチ」は、

  1. システムとして長続きせず、
  2. 実のところ「週6〜7日勤務」を要請している

ことを意味してしまい、大変危険だと思っています。

大切なことは「顧問をやるかやらないか」の選択ができることであり、報酬はそのあとの話なのかなと思っています。

何より、学校の基本方針として部活動が存在していることに疑問を持ち、システムを心地よいものへと変えていくことの方が、はるかに急を要する課題です。

友人と話していますと、

  • 「土日の部活動がキツすぎて辛かった」
  • 「ほぼ家庭のことは考えられていない」
  • 「平日に早く帰り土日が空くことで、人生が豊かになった」(部活があった時は異常なほどしんどかったという意味)

など、部活に対するネガティブな意見は多いものでした。

やはり「プライベート時間の確保」は大切な価値観であり、家族ができるフェーズにいる僕らの世代では、特に「部活動の意義」に大きな疑問が投げかけられています。

お金か時間か。

僕は正直、

お金で解決するのであれば、なんて簡単な話なのだろう

と思っています。

もっと先生たちのプライベート時間を確保してあげることのほうが、より重要な課題なのではないでしょうか。

報酬をあげれば部活動をしてくれるという考えは難しい。まずは顧問をする/しないの選択肢があるかどうかのほうが大切だ。

自分の人生は、自分が主人公である。

友人は随分前から、

生徒のために部活動顧問をすることは、本末転倒だ

と思っていたそうです。

僕もどちらかというとそちら寄りの考えですが、

  1. 当時は若くて時間があったこと。
  2. 生徒のためと思って動いている自分が「いい先生だ」と勘違いしていたこと。
  3. お金も少しもらえるからいいかなと思っていたこと。

このような「思考」が重なり、部活動顧問のあり方や課題については、結局のところなんとなくしか考えられていませんでした。

しかし今の学校は部活動が弱いため、顧問であるのにもかかわらず自由度が高い状態となっています笑。

おかげさまで以前とは違い、「自分のやりたいこと」に時間を充てられるようになりました。

ちょうど自分の人生についても考え始めていたため、上記のような友人の考え(反部活動至上主義)に激しく賛成する側に立っております笑。

やはり人間、どこまで行っても自分のことが好きであり(あってほしい)、人生というストーリーを紡いでいくのは「自分以外の誰か」ではないことを知っています。

友人から聞いた言葉で印象的だったのは、

自己犠牲が美しいとは、これっぽっちも思わない。

という言葉でした。

いわゆる「純粋なGIVER」になりきってしまうことですね。

自己犠牲は「自分のことを大切にしていない裏返し」でもありますから。

そもそも自分のことを大切にできていない人が、生徒(他人)のことを大切にできるわけがありません

「生徒を大切にすること」も確かに大事なことですが、ある程度の、

  • 分別
  • 中庸さ
  • バランス

もまた大切であることは、言うまでもないことです。

もしバランスが取れていない生活を送っている(強いられている)先生がいるとすれば、僕はその先生に聞きたいことがあります。

あなたは、プライベートで何を学んでいるのですか?

と。

プライベートで学びや経験をしていない先生は、生徒たちに魅力的には映りません。(これは会社員についても同じだと思います)

生徒たちに本当の意味で「何かを還元したい」のであれば、部活動につきっきりになるのではなく、先生たち個人の時間を大切にして、生徒たちに自分たちが学んだことを伝える姿勢をもつことが必要です。

そうすれば生徒たちも先生に頼りきりにならずに「自分の足で歩くこと」を覚えますし、何より経験深い先生を尊敬するようにもなります。

先生たちのプライベートを充実させるためにも、部活動のあり方については今一度考えを改め、課題に取り組んでいかなければならないのですね。

自己犠牲はキレイごとだ。自分を大切にした上で余裕を持ち、生徒たちにGIVEをしていこう。

おわりに

ここまで部活動に反対するようになったのも(?)、「自分の自由な時間を持つ」ということを体験し始めてからのことでした。

  1. もし部活動が仕事のうちであり、
  2. しっかりと報酬の体制が整っており、
  3. 局所的に負担が集中しないようなシステムであれば、

僕もこうして声を上げることはありませんでした。

つまり1〜3のどの条件について見ても、満足がいくほど条件を満たしているとは到底思えていないのです。

部活動に疲弊している先生は何人も見てきていますし、以前の若い頃の僕のように「余裕があるからできている」という先生たちも、この先でライフステージが変わっていく中で、

え?部活動きつくない?イヤなんだけど

と思う時が、必ず来るはずです。

生徒たちの想いに応えてあげたい気持ちも分かりますが、部活動はこの職の本分ではないため、その点においては疑問を投げかける必要があるのです。

まずは自分自身を大切にしましょう。

「自己中心的になれ」というわけではありません。

それが「純粋なGIVER」から「真のGIVER」になるということであり、長く「教員」を続けていくポイントだと思うからこそ、僕は言うのです。

また何か思うことがあれば、発信していきたいと思います。

それではまた!

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