こんにちは。すずきです。(@seiz_suzuki)
「識学」という考えに基づいて会社の組織を考える本「いちプレーヤー」から「マネージャー」に頭を切り替える思考法:リーダーの仮面を読みました。
僕の役割は末端もいいところでして、就職活動をしていた時も、
「プレーヤー(教師)として生徒と向き合う現場にいたいな」
と思っていたくらいですから、自他共に認めるバリバリの『現役プレーヤー』です笑。
しかし、
- 「上に立つということはどういうことだろうか?」
- 「今、上に立ってくれている人は実際どうだろうか?」
と、今の自分やリーダーの立場や次の仕事について考え始めたことで、本書を手にとってみたというわけです。
読んでみて「なるほど」と思ったところもあれば、「それはちょっとなぁ…」と思うこともありました。
読書において大切なことは、何もかも本に書いてあることが正しいとは限らないと斜に構えておくことです。
何かを盲信してしまいますと、自分で考える力が身につかなくなってしまいますからね。
現在は末端の役割を担っている、僕なりの考え方をお伝えしていきます。
組織とリーダーのあり方とは?
以前も僕はリーダーの判断について記事を書いたことがあります。
またLINE株式会社の元CEOである森川亮さんの書籍シンプルに考えるを読んだことで、会社経営の面白さを感じたこともありました。
今回読んだ「リーダーの仮面」はどちらかと言えば違う道を行くものであり、大切なことは、
- ルール
- 結果主義
- 成長
- リーダーは孤独
- 部下と距離を置くこと
であると、組織自体を否定せずにそのあり方をもう一度考え直す内容となっていました。
「組織の成長を願う」という意味では、他の本に書いてあることと一緒かもしれませんね。
僕が激しく同意したことは、
- 部下の感情に訴えることはNG。
- モチベーションを上げようとすることはNG。
- 馴れ合うことはNG。
- 無駄に褒めることはNG。
などでした。
簡単に言えば「友達じゃないんだぞ?」「ここは仕事場だぞ?」という感覚をもち、距離を保つことが大切というわけですね。
リーダーに必要なことはシンプルで、
- 誰がいつまでに何をするのかをハッキリと部下に伝え、
- 結果を出したら「お疲れ様」と言ってあげ過剰に褒めず、
- 結果を出せなかったら問題解決のための次の行動を考えさせる。
というものです。
- まずは組織の利益追求(大きなマンモスを狩る)
- その後、分け前として個人の利益追求(マンモスの肉片をシェア)
の順序が大切であり、現代では「個人の利益」をあまりにも追求してしまう社員や職員がいるため、利益や成長の順序がカオスになってしまうということでした。
厳しい言い方かもしれませんが、「組織」である以上はピラミッドであることは当然であり、それが嫌な人はそもそも会社に合わないということです。
現在の組織の中において、「人々をうまく機能させること」ができているリーダーは少ないということでした。
群れで生活してきた人間だからこそ、「組織を形成すること」によって狙える獲物もあります。
「組織(トップダウンの形)は古い考え方だ!」「意見が全然通らないから不要!」と意見するのは安直であり、組織だからこそ生み出せる利益があることを説いています。
「もっと自分が(個人が)自由に動けるようになりたい!」と思うことは素晴らしいことですが、
- 組織のルールを逸脱して奔放になりたがっていないか?
- 組織がうまく自由にやらせてくれていないのか?
など、どこに不具合が生じているのかを考えてみてもいいのかもしれませんね。
学校という組織の曖昧さ
ここで「学校」に焦点を当ててみましょう。
まず公立の学校で「利益追求」をしていくことは至難の業です。
僕はこの本を読んでいて「そもそもの出発点が違うな」と思いました。
「会社とは学校というよりも塾寄りである」と書いてあったからです。
会社は「社員を褒めて伸ばす学校教育のようなものではなくて、厳しい受験指導をして志望校合格を狙うカタチ」のほうに寄っているということです。
しかし学校の教員同士の関係とは、「塾」よりも文字どおり「学校」寄りなのです。
「成果主義」になりますと、学校独自の「福祉的要素」が排斥されてしまうからですね。
すると、
- やれピラミッドだの
- やれ利益追求だの
- やれ成長だの
という考え方は、なかなか通じません。
もちろん、
- それっぽい組織図
- お金ではない、生徒や保護者からの感謝(≒ 利益)
- 生徒と教員それぞれの成長
など、それらしい形は存在します。
しかし本書に書いてあることがぴったり適応されるような組織かと考えてみますと、ちょっと無理があるのかな(というか別次元だな)と感じました。
各教員が「個人主義」的なところもありますからね。
ただ一応「組織」ではありますので、その中でリーダーがどう振る舞っていくのかは確かに重要です。
また教員は事務的な仕事も多いですから、「授業とはまた違った動き方」が必要とされる場面もあります。
これはかなり「ビジネス的だ」と言うことができますね。
例えば体育祭や文化祭、テストや特別指導などは、ちょっとしたイベント運営みたいなものです。
- 責任の所在
- 指示が通っているかどうか
- 締め切りや期限
- 人員配置
など、リーダーは全体を見渡して運営していくことが必要であり、末端の教員に考えさせ、かつ動かさなければうまくいきません。
この点においては、本書に書いてあることが多少活かせるのではないかと思いました。
信頼されるリーダーとは?
僕が9年近く教員をやってきて、いいなと思う理想のリーダー像とは、
- 指示や期限が的確である。
- 無駄に干渉してこない。
- 無駄に馴れ合ってこない。
- 部下の「情報・状況」を反映・適用しなくても、まずは聞き入れてくれる。
- 結果や失敗に向き合って指摘してくれる。
などの要素を持ち合わせている人です。
「俺の指示に従うだけでいい」と感情を切り捨てて、強引にプロジェクトを進める力も大切ではありますが、一方で部下が直面している事実(=情報)を聞くことも大切だと書いてあります。
トップダウンの「要(かなめ)」は、
- 下に有無を言わせずに、
- 感情を持ち込まずに、
- 一見すると冷酷だが、
- 会社の利益・成長を追求し、
- 上から指示を下ろしていくこと。
- (その分、責任の所在はリーダーにある)
ですが、時に部下の有用な情報も取り入れるべきであり、
- 「言い方や指示は乱暴でも構わない」
- 「無理だろうが疲弊していようが、期限を守らせる」
- 「同僚・部下とは一切コミュニケーションを取らなくていい」
というわけではないのです。
距離感やバランスを考えて、組織と部下の成長を願い、部下と付き合う人はいいリーダーだなと思いますね。
逆に僕が「これはないな…」と思ったリーダーの特徴は、
- 下の意見や状況を全く聞き入れようとしない。
- 部下の現状を把握せずに無理難題を押し付けてくる。
- 無駄に褒めてきてはゴマをすってくる。
- 指示が曖昧で、頼んできたなと思ったらあとは人任せにする。
- 自分至上主義&王様気分で感情のままに意見を言う。
などです。
もはや本書に書いてあるノウハウ以前の問題である人がいるのだなと笑。
「リーダーは『好き嫌い』などの感情は排除しろと書いてあるけど、そもそも当人が人格的にオワッていたら始まらない議論だよな…」
と読み進めながら残念な気持ちになってしまいました。
本書の内容は「ほぼデキているリーダーが、あと一歩で劇的に変わる考え方」を伝えているようにも感じましたね。
「人格的にありえない人でも、この本の通りにやれば会社は成長する…」
果たしてそうでしょうか…ここは議論の余地がありそうですね。
おわりに
本書に書いてあったことが全てではありませんし、組織のサイズ感の違いがあったり、学校のような微妙な組織も存在したりと、様々な状況が考えられます。
突き詰めて行くとリーダーに必要な要素は、やはり「シンプルだ」と思っています。
- 仕事で部下が成長できる。
- 会社(部下)の利益につながる。
という点が大切ですよね。そのプロセスでは、
- 飲みに行くこと。
- 相談に乗ってあげること。
- 馴れ合うこと。
は確かに不要だなと感じました。
しかしそれらがありきで組織を運営することがダメなのであって、
- 会社の向かっている方向
- 何をしに職場に来ているのか
などを見直すだけで改善できることなのかなと思いました。
職場の雰囲気は明るくなくてもいいですが、ギスギスしてほしくはないですしね。
それは個々の組織の状況に合わせてカスタマイズしていくことが良いのでしょう。
いずれにせよまた新たな視点を持つことができましたので、とても勉強になりました。
今後も職場でそうした視点を持ちながら、リーダーたちを見て自分もその立場にいずれ立てるように精進していきます。
それではまた!
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